ハコイリムスメ。
「はい」と頷いて、俺は荒れたリビングを見渡した。
葵の母親を見やると、彼女もまた俺を見ていたらしく目が合った。
2人で頷き合う。
家の外は騒然としていた。
買い物袋をさげた主婦や、トイプードルを連れた女の子、ひそひそと会話を交わす中年女性。
庭に咲く花だけが変わらず美しく、風に吹かれて穏やかに揺れていた。
俺が警察署から解放されたのは、太陽が沈みかけた7時近い頃だった。
どう連絡が行ったのか、さっちゃんが迎えに来たのだ。
葵とサトも一緒に。