ハコイリムスメ。
「ちとせ!」
「ちとせくん!」
サトと葵が駆け寄ってくるのが見えた。
俺が片手を上げて答えようとしたら、葵がその勢いのまま俺に抱き着いてきた。
「大丈夫?ねえ大丈夫なの?」
「なんともないよ」
「お前……っ本当頼むぜ、警察から連絡が入って、俺がどんだけビビったと……」
「そうよ!なにやらかしたかと思ったら、保護されてるって言うもんだから……」
「ごめん」
俺が2人に素直に謝ると、サトもさっちゃんも俺の頭を一発ずつ叩いた。
サトはばかやろうと言ったし、さっちゃんは心配させないでと言った。
「……で、葵ちゃんのお母さんは?」
「……たぶん、今はまだ中に」
俺の言葉に、さっちゃんは自動ドアを睨んだ。
「そう。私が話をするわ。あんたは疲れたでしょう、帰りなさい」
「いやだ」
「わがまま言わないの」
「……俺達の問題だ。最後まで自分の目で見届けてーんだよ、さっちゃん。俺はニュースになってからテレビ越しに真相を知るのなんかいやだ!」
俺が叫んだとき、自動ドアが開いた。