ハコイリムスメ。
別れが来る
時間が過ぎていく。
葵の父親のことが何度もニュースや新聞をにぎわせた。俺の父親についても供述を始めたらしい。
けれど、報道の目は葵を見つけられなかった。
さっちゃんをはじめとした大人達が、俺達を隠すバリケードの役割を果たしてくれているらしい。
おかげで俺と葵はいつもと変わらず平和な時間を過ごしていた。
そんなある日、インターホンが鳴り響いた。
「ちとせ、聞き分けて。あんただって本当はわかっていたでしょう?」
「嫌だ嫌だ嫌だ!」
「ちとせ!」
俺は話を聞き終わるや否や、さっちゃんに背を向け、部屋に閉じこもった。
さっちゃんが俺の部屋のドアをバンバンと叩く。耳を塞いでドアに寄り掛かりながら床に座り込んだ。
葵はサトと買い物に出掛けていて、たまたまいなかった。どうしてこの日に限って俺も出掛けなかったんだろう。