ハコイリムスメ。
慌ててベランダに出て、柵からケータイを持ってない左手で引き剥がした。

あ、あぶねーコイツ。何するかわかったもんじゃねぇ……



ほっと息をつく。

「ダメだろ、落ちたら痛いよ」

…っていうか死んじゃうよ。そうだ、ここ35階だった。

「いた、い?」


俺の言葉に首をかしげる少女を見て、俺の中ではまた消えかけていた違和感が顔をあげる。


えー、なんなの、この会話。「痛い」が分からないのだろうか?
頭の中をぐるぐる巡る疑問符。


でもそれもつかの間で、通話口から

『聞いてる!?』

って金切り声があがる。






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