ハコイリムスメ。
これから先、何があるかわからないけど、
出会ったあの夏以上にハードなことって、きっとないはずだから。
その時はしんどくたって、いつか笑って思い出せる日が来るから。
だから、これからもよろしく。
「……帰ろうか、真央」
「うん!」
俺たちは手をつないで、施設に背を向けて歩きだした。
風が吹いて、桜の花びらが舞った。
約束の春、俺たちはまた出会った。
そして、もう離れない。
俺はわがままだから、俺には葵が必要だから、離してなんかやんねー。
「真央」
「ん?」
腕を引っ張って、もう一度、存在を確かめるように口づけた。
大切なたったひとりに心からの、誓い。
「大好き」が、「ありがとう」が、「大切」が、全部全部伝わればいいと願った、18の春の誓い。