ハコイリムスメ。
ちなみに言っとくけど、店長は男だ。




季節は7月の始まり。


今日は今年で初めての真夏日で、コンクリートにたまっていた熱が、本来なら冷めるはずの夜の空気までも熱くさせていた。


「う、わ、なんだってんだよ!!放せ暑苦しい!!」

店長を突き飛ばそうとしたのだけれど、相当しっかりと抱きつかれている様子で、はがれない。



「あー、助かった、ちょっと奥まで来てくれよ」


店長はにこにこと笑って、勝手に話を進めようとする。


「はあ?俺帰んだよ家に」

それで寝るの。疲れてるの。わかる?
俺がイライラを抱えながら反論の言葉を並べようとしたら、先手を打たれてしまった。



「頼むよ~、今度サービスするから」

「…サービス?」




いくら金に困ってないとはいえども、超大金持ちでもないわけで、しかも学生なわけで、この言葉には弱いのだ。

ああ、バカな俺。

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