ハコイリムスメ。
「………で?私にどーしろって?」
「…教えて欲しいことがあんだ」
キィ…
さっちゃんが椅子を回して俺に向き直った。
「葵ちゃん、ちょっと外に出ててもらっても大丈夫かなぁ?」
「………?」
「葵、おいで」
俺の声に反応して、少女は顔をあげた。
いったん彼女を連れて部屋を出た。
廊下にあった自販機でリンゴジュースを買った。
「はい、あげる」
「…?アゲル?」
「おいしーよ」
プルタブを引き起こして、渡した。
受付のソファーに座らせて、その前にしゃがんで目線を合わせる。
「ちとせくんは今からあのおねーさんと話があるから、リンゴジュース飲んで待っててね」
自分で自分を「ちとせくん」なんて呼ぶのはむず痒いわけで、でもわからなかったら困るしで。
目を見てゆっくり話したら、葵もゆっくり頷いた。
「お待たせ」
「はいごくろーさん」
そのあと私にどーしろって?と、問われた。