ハコイリムスメ。
電車に乗ってすぐ、親友の顔を見つけた。
「よー」
「おー、最近規則正しくねーか、ちとせ」
「サトもな」
先に乗っていたサト…峰島サトルの隣に立つ。
「なんだよ、何かあったの」
「別に。そんな変なことじゃなくね?」
葵のことは、サトにも美佐にも教えてない。
べつにペラペラ話すことでもねーし、ましてや彼女に「同棲みたいなことしてまーす」なんて、言えるわけない。
「まぁいんだけどさ、別に」
あくびを噛み殺しながら、「そうか?」と眠たげに答えた。
「…?」
サトはそんな俺を見て、不思議そうに首をかしげた。
その動きが葵とかぶって、笑いそうになったのをコイツは知らない。