ハコイリムスメ。
「なーにニヤついてんだって」

「ふははふはふは」

「キモいキモい」

「キモい奴の親友だぞお前は」

「じゃあ、今日でおしまいだ」



ふざけて言うサトの脇腹を軽く殴った。

「いてっ!!あーそだ、今日カラオケ行かね?」

「カラオケ…あー行きたいけどー…パス」

「んだよ、最近付き合い悪いぞ」

「ん…ゴメン」

「や、いんだけどさ…やっぱ何か隠してね?」



グラッと電車が揺れた。
毎朝のカーブ。乗り慣れてる俺たちや周りのリーマンたちは何事もなかった顔でつり革に掴まったまま。
この路線は朝のラッシュと逆方向だから、大して混まないんだ。


「隠してる」
「はぁ?なんで隠すんだよ」
「事情があんだよイロイロ」
「…あっそ」

サトは心底つまらなさそうにそう言ったあと、吊り広告を見上げながら訊いてきた。


「そのうち話してくれる予定は?」

俺は迷いもせずにきっぱりと告げた。


「お前は口が固いから、そのうち話すよ」




信用してるんだからな、一応。

サトはへいへい、と頷いて、降りるぞと手招きした。

学校の見える駅に、いつの間にか着いていた。




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