ハコイリムスメ。






黒板の前で担任の市川一(イチカワカズ、通称イチ)がもうすぐ夏休みだあーだこーだ喋っているのをぼんやりと聞いていたら、いきなり指された。


「あー、ちとせ」

「…」

「谷神ちとせ!!」

「…え、あ、はい?」


ぼんやししてる俺にため息をつきながら、イチは苦笑した。


「何だ、目ぇ開けたまま寝てたのか」


クラスがどっと笑いに包まれた。


「ちとせ、なにやってんだよ~」

「夕べも深夜徘徊か?」

「谷神くんかわいー」


ケラケラ笑う男子。

好き勝手言う女子。



「来週から文化祭委員会始まるから、お前実行委員な」

「はぁ!?え、な、何でだよイチ!!」


イチはニヤリと笑って、


「理由はない!!」


と、満面の笑みで言った。


「横暴教師!!」

「えー女子はー、サト」

「男じゃねぇかよ!!」


イチはボリボリ頭を掻いて、はははと笑った。


「ん?ああそうだったそうだった。まあ良いよなサト」

「まあ…別に」

「そんでお前はちょっとは拒否れ!!」



流れで文化祭委員にさせられてしまった俺…

正直、かわいそうだ。



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