スプリング×ラブ!
「……嫌なんだよ、俺」
『はい?』

春はまだ電話の相手が透夜だと気づいていなくて、園田は電話の相手が春だと気づいた。彼の目は、向こうのゴンドラの女の子だけを見ていたから。

「勝手かも知んないけど、山口が俺たちをくっつけようとしてんのもわかってるけど!だからって隆司と2人きりでいられんのは嫌なの!」
『………さっ坂井くん……っ?』
「ちょっとは俺の気持ちも考えろアホが!」

今度は彼が一方的に電話を切る番だった。
ブツッ!と音がして、電話は切れた。



(「……やっちゃったーあーあー…バカは俺じゃんね」)

冷静になってみて、恥ずかしさと嫌悪感でいっぱいいっぱいになった透夜は膝を抱えて顔を伏せた。園田はどうしたらいいんだろう、と戸惑う。でも、初めから決まっていた答えに、逆に笑うしかなかった。

「あはははっ」
「……すみません、園田さん」
「……なんかもう、いいやぁ」

園田はもう一度ふふーっと笑った。


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