スプリング×ラブ!
「バカって言うなぁ!なんだよ見下して!学年トップだからって!」
「……なんか他に反応無いわけ?」
「だってよく聞こえなかったんだもん!」
「ウソついてんでしょ」
「もう一回!」

知らないよ、そう言って彼は春から手を離して歩き去ろうとした。
このままだと、明日からまたなにも変わらない気がして、今度は春が透夜のジャケットの裾を掴んだ。

「……なに」


今日初めてまともに見た目は、やっぱりアレルギーのせいで濡れていた。
いつも通りの姿に、少しだけ安心する。


「……す……好きだ…よっ………バカ!」





勢いでつけてしまった「バカ」に、春はあわてて口をおおった。
透夜の片眉がはね上がる。

「バカ?」

「え、そこに食いつくの!?」

「………冗談だよ」

透夜は見たこともないほど艶っぽくキレイに笑った。目を奪われていたら、透夜が見とれてんのとバカにする。

「うるさいなぁっ!」

(「なにこれ!今告白したんだよね!?なにこのふざけた空気!?」)

「……へぇー、そう」
「……うん」
「好きなんだ」
「はイ」
「声裏返ってるし」
「坂井くんまたキャラ変わったねサドになってる」
「……うるさいなぁ」



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