スプリング×ラブ!
「じゃあさー……」
「……はい?」
「行くよ」
「え?」

透夜がまた歩き出す。
わけもわからず、また背中を追った。

「どこ行くの!?」
「とっておきの場所に」
「今じゃなきゃダメなの?」
「今じゃなくてもいいけど俺が今がいいから行くの」

そんな理屈ってないよー!春が後ろで叫ぶけれど進む。ついてくるとわかっていたからだ。




桜並木を端まで行くと、透夜が立ち止まった。春は背中に鼻をぶつけた。

「ふぎゃ」
「奇声発してないで目閉じて」
「ええっ!こんなところで!」
「バカ?なにもしないよ」
「またバカって言った……」

春はしぶしぶ目を閉じた。
ほとんど同時に透夜の手が自分の手をとる。

(「わわわっ!何!?」)

引っ張られて歩くのが不安で細く目を開けようとした瞬間、まだ開けちゃダメだからねとタイミングよく声がかかってやめた。

十数歩歩いたところで、透夜が開けてと言う。ゆっくり開いてみると、そこには小さな公園があった。

「??え?」

意図がつかめず透夜を見ると、彼はよく見てみなよと公園の真ん中をアゴをで指した。




そこには、少ししか花が開いていないものの、桜の大木が植わっていた。




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