スプリング×ラブ!
「明日、木に登るよ!この木!」
かなりの長さ離れたところから、春は思いっきり叫んだ。
「無理でしょ」
透夜も叫び返す。
「約束したじゃん!」
「うるさいなぁ」
透夜ははぁとため息をついてから、木の枝に飛びつこうとジャンプをしている春のところまで走った。
彼が着くと、春は大きく笑った。
「なに?」
「私、『春』大好きだけど、坂井くんのが好きだよ!」
「………そりゃ、どーも」
「坂井くんも『春』好きになんなよ!」
「無理だね」
「えー………」
「俺は『春』なんか大嫌いだけど、『春』は、好きかな」
「どっちがどっちー!?」
「自分でわかってよ!恥ずかしいなもう!」
桜が春の夜風に揺れた。