スプリング×ラブ!

夏香がお弁当を食べ終わると、2人は教室に戻ろうか、とベンチを立った。
春的にはもう少しベンチで日向ぼっこをしていたかったのだけれど、次の授業は体育で、着替えのために少し早く教室に戻る必要があったのだ。

「お弁当の後の体育って、だるいよねー」

夏香がそう呟くのと、春があれっ?と言うのと、ほとんど同時だった。

「なに?どうしたの?」
「あそこ。あの窓のところにね、」
「えー?どれ?」

春は指をさしながら、その窓に向かって目を細めた。

「2階の、旧校舎との連絡通路のすぐ横、本校舎の窓…今、坂井くんがいた」
「え?坂井?坂井って…坂井透夜?」
「うん」

夏香はえー、見えないよ?と言った後、

「なにやってんだろうね?あそこ、多分位置的に第2美術室の準備室だよ?結構あの辺暗いから、不気味がって誰も近寄らないし」
「第2美術準備室…」

春はぼんやりとその場所の名前をつぶやいた。



< 20 / 119 >

この作品をシェア

pagetop