スプリング×ラブ!
6時間目の終業のチャイムがなった。
その直後、春の頭のそばでケイタイが鳴ったのをキッカケに、目を覚ました。

「…………ん~…?」

目を閉じたまま手探りでケイタイを手にするまで、側にあったいろいろが床にドサドサ落下した。起き上がりながら電話に出る。

「はーい?」
『あ、春!』
「夏香ぁ?」
『バカっ今どこ!』
「バカって…酷いなぁ」
『どこ!』
「どこって…ええと、ここはどこですか?」
『ばかー!』
「あう……」



キョロキョロまわりを見てみる。畳まれたカーテンと、画材と、窓、窓から下を見たら中庭。お弁当を食べたベンチが、今も日差しを浴びて輝いている。

「あ!美術準備室っ!第2!」
『はぁ?6時間目春の好きな英語だったんだよー?何してたの』
「………坂井くんを見つけてー…で、坂井くんは帰って、私は寝てたみたい」

電話口で夏香が盛大なため息をついた。
とにかく、と続ける。

『とにかく、ホームルーム始まる前に戻っておいでっ』
「りょーかーい」

電話が切れると、春は立ち上がって伸びをした。窓を開けようと近づいたけれど、透夜の言葉を思い出して、あわててその手を引っ込め、準備室を出た。




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