スプリング×ラブ!
春はうふふと笑ってから、透夜の生徒手帳をカバンにしまい、軽い足取りで美術準備室を後にした。




下駄箱のところで、谷原に会った。

「あれ、山口?」
「あ~谷原くん」

へらっと春が笑うと、谷原もへらっと笑った。

「まだ学校居たんだ?」
「今帰るとこ。谷原くんは?」
「広見に頼まれてー。透夜ん家行くんだ」
「えっ!坂井くん家知ってるの?」
「あー知ってるも何も、透夜は小学生のときからの腐れ縁だから」

彼は眠たそうに欠伸をした。

「えぇ!」
「違うクラスになったのなんて、11年間で1回しかないよ」
「嘘ぉ!」

春はいちいち大きく反応する。
その様子がおかしかったのか、谷原はちょっと笑った。

「山口ってさ、」
「え?」
「透夜に似てる」
「…………どこが?真逆の間違いじゃないの?」

自分を眺め回してから、春は訊いた。向こうは、「あ、違くて」と手をヒラヒラさせた。

「引っ越してきたころの透夜に」
「………それっていつ」
「え~確か小学校の入学式直前?」
「私の知能はその程度…」

春はため息をついた。
谷原があわててフォローに入る。



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