スプリング×ラブ!
「どうやるのー!」
「あたしにもおしえてー!」

女の子たちに囲まれた春は、照れたように笑った後、全員分の小さな指輪を作ってあげた。子供たちは一様ににっこり笑って、嬉しそうにはしゃいだ。
そんな様子を見ていて、春も楽しそうに笑った。



その時、いぶかしげな声がかかった。

「………アンタ、なにしてんの」
「へっ?」


後ろを振り向くと、マスクをして不機嫌そうに目を歪めた透夜の姿があった。
固く握られた右手からは、小さな紙が覗いている。

「坂井くん!!!やあったああ!」
「は?」

春が立ち上がって透夜の方に駆け寄ると、お姉ちゃんまってーと女の子たちも付いてくる。透夜は「うわっ」と小さくつぶやいて、少し身を引いた。

「あ、そうだったそうだった」
「………(なんだこの人)」

彼女は急停止して、女の子たちに向き直った。

「ごめんねえ、お姉ちゃんもう帰らないといけないんだー。また遊ぼうよ、ね?」
「さみしいー」
「えー、もっと遊ぼーよー」

子供たちの親と目があった透夜は、なぜかその親たちが自分に会釈をしたのが不思議で仕方無かった。山口と関係がある人間だと思われてんのかな、と頭の中でげんなりしていたら、春が子供たちと別れを済ませたようで自分の方に寄ってきた。




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