スプリング×ラブ!
顔を赤く紅潮させた春は、照れたようにへらっと笑った。透夜は頭が痛くなるのを感じながら、スタスタ歩き出した。あわてて後を追う春。

公園からいくらか離れた後、透夜は思い切り不機嫌な顔を春に向けた。

「……なに?」
「あ、あのね…悪いんだけどー……」

本当にすまなそうにうつむくので、なんだなんだ、と思う。春は春で、すまなそうにしているつもりなどなくて、ただ駅までの道を訊くという行為に恥ずかしさを覚えていた。

がばっと顔を上げた春に、透夜はやはり少し身を引いた。

「駅までの道教えてもらえないでしょうか!」
「……はあ?」
「おねがいしますー…帰れなくなっちゃいまして…アハハハハ」

(「じゃあどうやってここまで来たんだよ」)

透夜は口の中で小さくつぶやいた。
え?と首を傾げる春に向かって、

「…口で言って覚えられんの?」

と、答えはわかっていたのだけれど一応訊いた。

「……い、言われてみれば…わからない、です」



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