スプリング×ラブ!
一方、春はというと。
「むーん、坂井透夜くん、春が嫌いなんでしょうかね」
と、夏香に向かって呟いた。
夏香は苦笑混じりに、本人に聞けばーという。
1時間目の直前になっても、透夜が戻ってくる気配はない。彼はこの時期しょっちゅう授業をサボるので、先生たちも頭を抱えているのだった。
成績が悪い訳じゃない。むしろ上位10位以内を下回ったことがなくて、生活態度も基本的に真面目。先生が透夜を持て余すのは自然な流れというもので、透夜自身もそのことはよくわかっていた。
1時間目、数学の授業だ。
「なんだぁ?坂井はまた保健室かー?」
先生が誰にともなく問うと、肯定の空気が教室を満たした。
先生は深いため息をひとつついてから、黒板に向かって新しい公式を赤いチョークで丁寧に書いた。
春はぼんやりと窓の外を見ていた。
(「あー、いい天気。ピクニックしたいなぁ」)
「むーん、坂井透夜くん、春が嫌いなんでしょうかね」
と、夏香に向かって呟いた。
夏香は苦笑混じりに、本人に聞けばーという。
1時間目の直前になっても、透夜が戻ってくる気配はない。彼はこの時期しょっちゅう授業をサボるので、先生たちも頭を抱えているのだった。
成績が悪い訳じゃない。むしろ上位10位以内を下回ったことがなくて、生活態度も基本的に真面目。先生が透夜を持て余すのは自然な流れというもので、透夜自身もそのことはよくわかっていた。
1時間目、数学の授業だ。
「なんだぁ?坂井はまた保健室かー?」
先生が誰にともなく問うと、肯定の空気が教室を満たした。
先生は深いため息をひとつついてから、黒板に向かって新しい公式を赤いチョークで丁寧に書いた。
春はぼんやりと窓の外を見ていた。
(「あー、いい天気。ピクニックしたいなぁ」)