スプリング×ラブ!
いちいち大きなリアクションをする春がおかしかったのか、透夜くすくす笑った。クシャミはまだ、出ない。

「それよりアンタ、なんでこんなとこに居たの」
「え?」
「家、この辺じゃないんでしょ?駅までの道さえわかんないんだから」

春はうーんとねえ、と小さく唸ってから、二カッと笑った。

「話すと長くなるからハショると、私昔この辺に住んでたの!で、近所にあったおおきな桜の木のある公園が好きだったのね。で、その公園はもうマンションになっちゃったんだけど、そのことちゃんと知ってんだけど、その跡地を見に来たのー。そしたら、幼稚園生の時の友達のお母さんがそのマンションに住んでて、それがショックで走ったらここに来ちゃったの。道わかんなくて、適当に歩いたら7丁目で、途中の公園まで戻って、小さい子たちと遊んでて、そこに坂井くんが来たのっ!ホントラッキーだなあ、私!…あ、坂井くんわかった?」

ぺらぺらと止まることなく話し続けた春をぼんやりと見ていた透夜はその声にハッとして首を振った。

「わけわかんないし長いし」
「えー!」

ちゃんと聞いて無いからだよ!と、彼女は頬を膨らませた。



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