スプリング×ラブ!
右手に持ったままだった薬の箱をカバンに入れて、ちょっと走ろうか、と透夜は言う。
予鈴が鳴り始めていた。

「透夜が登校時間気にするなんて珍しい」
「別に。早くこれ飲みたいんだ」
「薬?」
「うん」

透夜は足が速い。
なんといっても完璧人間だから。……いや、完璧ではない、欠陥は花粉症。

「あー透夜もついにフォーリンラブかー」
「………つながりが見えないよ」
「山口の薬が早く飲みたい」
「………はぁ?」
「透夜くん、恋しちゃった!」
「…………あーハイハイ」

谷原の言葉に腹をたてたのか、透夜がトップスピードで走り出したせいで、もう誰も追い付けない。

「ちょっ、とーやぁああっ!」

(「知らないよ」)





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