スプリング×ラブ!
振り向かなくても透夜だとわかったけれど、春は振り返った。

「あっ坂井くん!」

少し声を張り上げると透夜はなにコイツ、と顔をしかめた。男子と女子の言い合いが静まり、男子Bが振り向いた。

「透夜っ!どこいってたんだよ~」
「あ…保健室に行ってたんだ」

マスクを指差しながら言うと、男子Bは納得したように頷いた。

「あーそっかそっか」

女の子が数人寄ってきて、大丈夫、坂井くんと可愛く彼を見る。彼は目だけで笑うと、ありがと、ヘーキと言った。

「坂井くん、結局国語も出るの?」
「……うん」
「そっかぁ、うん、それがいいね!ね、夏香」

いきなり話を振られた夏香は、それでも「うん、そうじゃん」と頷いた。

「あっそだ坂井くん!準備室に私のケイタイ置いてなかった?」
「ケイタイ?ああ………」

透夜が制服のズボンのポケットを探ると、薄ピンクのケイタイが出てきた。キラキラのビーズのストラップが3本もついている。

「コレ?」
「わおっ!最高!魔法!?」
「バカじゃない?ソファーの側に落ちてた」
「取りに行く手間省けたね~春」
「坂井くんありがとーっ」




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