スプリング×ラブ!
にこぉ、春が満面の笑みを向けると、彼は別に、と言ってふいと横を向いてしまった。
そのまま谷原のところへ行く。

「ありゃ、シカト?」
「シカトではなかったと思うけど……」

夏香がクスクス笑うので、春もつられて笑った。

「あ!坂井くん!」
「……なに」

しつこいなぁ、透夜はそう思いながらも、なぜか楽しい気持ちになった。コイツ人懐っこすぎだろ、と呆れながらも、自然にマスクの下で口元がゆるむ。

「薬、飲んだっ?」
「……飲んだよ」
「効いた!?」
「……そんな即効的あるわけないじゃん」
「そっかあ」

それから、また夏香に向き直ってしまう。つまんないの、そう心のすみで感じた。




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