スプリング×ラブ!
女子Aが透夜に近づいていった。

「ねーねー坂井くん」
「うん?」

透夜は笑顔で返事をする。
無意識の行動だが、これは彼が本心を悟られないように他人に向ける、誤魔化しの笑顔だった。

「今度、……一緒に遊園地行かない?」
「……遊園地?」
「うん!」

笑顔のまま固まる透夜、音に出さない笑い声をあげる谷原。

「あ、別に2人じゃなくてね!」
「じゃー俺もいー?」
「うん、もちろん谷原くんもっ」
「やった、ありがと園田さん」

女子Aもとい園田亜依は、ううん、そんなことないよとかわいく首を振った。

「俺…この時期はちょっと」

断ろうかどうしようか、そんなとき、春が「あがあああ!!」と冗談のように大きな声で叫んで、彼の声はかき消された。

「あああ!た、たた大変だ!夏香っ」
「春、恥ずかしいからちょっと黙ってよ!」

どうしたー?
谷原が立ち上がって春の方に歩いて行く。
透夜はその場に園田と2人残された。




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