スプリング×ラブ!
「たたた、谷原くん、どうしよう!」
「どうしたの?」
「これ見て!」
「えー?」

夏香はやれやれと首を振って、もー、何事かと思って焦っちゃったじゃんと春に軽くデコピンをした。

「たっ!……ご、ごめん夏香……」
「あーあー、切れちゃったんだ」
「うん」

谷原は春の手の中を覗いていう。そこには、ひもが切れてバラバラになったストラップがあった。

「まだ2本あるからいいじゃん」
「よ、よくないよ……偶数嫌いなんだもん」
「じゃあ1本にすれば?」

谷原と夏香がいうのに首を振る。


「……何騒いでんだあの人は…」

透夜はがっくりと肩を落とした。
あのー、という声に顔をあげる。

「どう、かな?」
「……考えとくね」

透夜が笑うと、園田は嬉しそうにうんと頷いて離れて行った。自分のグループに戻って、頑張ったね~とまわりから褒められていた。

透夜はげんなりしながら、国語の教科書をぱらぱらとめくっていた。

(「国語は何回くらいサボったんだろう」)

サボりたくてサボっていたわけではないけれど、何となく不安になった次のテストは2週間後で、それが学年末テスト。遊園地だとかって言ってる場合なのかな、と軽く首をひねる。



そこに、騒がしい女の親友が来て、

「坂井くん、先生が呼んでるよ」

と、いつのまにか教壇に立っていた国語の担当教師を示した。先生は口の端の方だけで笑って透夜を見ていた。




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