スプリング×ラブ!
電車に乗って、数分。
園田の服装をほめちぎってから、ふいに春が訊いた。

「ところで、坂井くんのどこがいいの?」
「えっ?」
「えーだって……ぶっちゃけ、わかんないから!」

真顔でいうので、園田はきょとんと彼女の顔を見た。

「やー、たしかにねー?親切かも知んないけどー。すぐばかとかいうし、お前呼ばわりだし、アンタっていうし、わけわかんないなあと」
「そっそんなことないよっ!」

園田は首をふるふると振ってから、

「坂井くん、話し方もガサツじゃないし…語調がやわらかいし……」
「あー…」

(「それは否定できないかもなあ、基本的にはね」)

「~じゃねえの?」と普通なら言いそうなところで、「~じゃないの?」とか、「~でしょ?」という、独特の話し方。

(「そっかー……坂井くんと話してて安心みたいな気分になるのはそのせいなのかも」)





< 82 / 119 >

この作品をシェア

pagetop