スプリング×ラブ!
「………ちくしょー」

悔しくて、柄でもない言葉を吐き出してみる。
悔しさは和らぐことなく、鼻は詰まるばかり。



透夜は保健室を追い出されて、とぼとぼ廊下を歩いていた。教室に戻るつもりはなかった。これっぽっちも無かった。
戻れば、あの開け放された窓から春の言うところの『そよ風』と共に、迷惑な花粉が入ってくる教室で1日を過ごさなくてはならなくなる。それだけは嫌だ。

かといって、家に帰る気にもならず。



そこで、『いつもの場所』で昼休みになるまで時間を潰すことにした。
いつもの場所、つまり美術準備室で。




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