らぶらぶホワイトデー


兄の言葉を思い出す。


「___お前、彼氏の彰くんと上手くいってないだろ。


そのクッキーを食わせてみろ。彰くんに。

そしたら素直になるぞ~。
心の声が口に出てしまう感じだ。


お前のことをどう思ってるか聞いてみろ」



彰の様子を見る限り、成功っていうか半分成功?


なんか泣いてる感じ見てると子供に戻ったみたい。

この泣いてる姿がホントの彰ってこと?
だとしたらなんで泣いてるんだろう?


「おい!...きいて...んっ...のかよっ...」


「あ、ごめん。えっと...」


薬のこと言うか?

でも私のことどう思ってんのかは聞きたい。


でも別に言ったって薬が効かなくなる訳じゃないんだし。


「あのそれ......きゃっ!」


視界が上を写してその中に苦しそうな彰が見える。


ていうか押し倒された。


「お前...いい...加減っ...にしろよっ...」



彰が辛そうに息をするたびに、
私の顔にかすかに息があたる。

目を合わせられない。



「な...なんで目逸らすんだよっ!」



彰の声が響く。
顔に滴が落ちる。

視線を戻すと彰が泣いていた。
本気の涙、そう感じた。



「なんで...なんでだよっ」


「ご、ごめんなさい」


「なんで謝んだよ...」


「その食べたクッキー...」


「誰からもらったんだよ!」


いつもは声を荒げたりしない彰が...
薬の効果で?
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