【短】溺愛ショコラ
『茉子。――別れよう。』
彼とやってきた公園で、この言葉を告げられたその前までは。
「……な、んで…っ?」
非情にも、私の声が震えていた。
ちょっと待ってよ。何で、いきなり、どうして――?
私が彼の言葉を理解するのには、あまりにも唐突で難題だった。
『俺、他に好きな子ができたんだ。』
「えっ…?」
ドクン、ドクンッ、と自分の心音が馬鹿デカく聞こえてくる。
私以外に、好きな子――…
『昨日から、その子と付き合うことになってさ。』
昨日から、付き合ってる――?
どうやら、完全に私は彼に必要とされていないらしい。
ぁあ、もう聞きたくない。そう思うのに、
『彼女と結婚を前提に付き合ってるんだ。』
彼は放心状態の私に追い打ちをかけることを止めなかったんだ。