【短】溺愛ショコラ
「昨日頂いたばかりの新作の件なんですが。」
『うん、それで?』
本題に入ると、あっさりと先生の腕から解放された。
「編集長から、原稿を上げてほしいと仰せつかりました。」
『うん、ムリ★』
「ですよねー…。」
先生の返事に、やっぱり、という一言に尽きる。
先生が天邪鬼でもそうじゃなくても、立て続けはキツイよね。
プロットもいつものより大分大まかだったみたいだし。
「先生もお忙しいとは思いますが、出来れば2週間の間に原稿を――」
『茉子ちゃん。』
「はい…?」
無茶な仕事を頼んでいるのは重々承知しているだけに、先生の顔を直視できない。
スケジュール帳を片手に仕事を告げていると、先生に呼ばれて恐る恐る顔を上げると、そこにはニッコリ笑顔の先生が。
そこに威圧感を孕んでいるように感じるのは私だけですか。