【短】溺愛ショコラ
『身を削って原稿を上げたワタシに、早く新作を上げろなんて、随分鬼畜じゃなぁい?』
「……。」
自分でもそう思っているだけに、正論を言う先生に何も言えない私。
編集長の……鬼。と編集長の悪口を心の中でつぶやく私だけど、先生からの冷ややかな笑顔は私に向けられたままだ。
この空気…とてもいたたまれない。
『茉子ちゃん。』
「……はい…?」
上から来る私を呼ぶ声に、ビビりながら恐る恐る顔を上げる私。
そんな私に、冷徹な笑顔を張り付けた先生はこう言った。
『昨日、彼氏と別れたりした感じかな?』
「・・・え?」
昨日…
彼氏と…
別れたり…
した感じ――かな?
「っっ」
先生の言葉を飲む混むのに時間を要した私が、目を見開いて体を硬直させるのに、大して時間はかからなかった。