【短】溺愛ショコラ
おまけ。
――工藤&茉子 スピンオフ――
『おい、工藤。何回、テメーの担当変えなきゃいけねぇんだよ。』
大手出版社、編集部。
月刊出版を担当している編集長にわざわざ呼び出された工藤は、眉間に皺を寄せて誰が見ても不機嫌だと分かるほどイラついていた。
ただでさえインドアで外に出るのが嫌いなのに、それを分かっていて呼び出す編集長に苛立ちを抑えきれないでいるのだ。
『……気に食わねーんだからしょうがないだろう?そんなに担当変えられたくないなら、お前が俺の担当になればいいだろ。』
『俺も自分の仕事で忙しいんだよ!』
大学の学部が同じで、昔から仲の良い2人は、いつものように不穏な空気をお互いに醸し出す。
喧嘩するほどの仲が良いとは、2人のためにある言葉だろう。
工藤も、好きで担当を変えろと言っているわけではない。
ただ、気が散るのだ。
1人が好きで一匹狼体質の工藤は、傍に人がいることを嫌う。
工藤の身の回りの世話をすることも、締め切りが近づくと毎日工藤の仕事部屋に来ることも、工藤のスケジュール管理をすることも、工藤の担当の仕事なのだから仕方ないと、工藤も思うのだが、それでもやはり嫌なのだ。
よく知りもしない人間を自分のテリトリーに入れること自体、本当は拒否したいというのに。
そんな工藤が付き合えるのは、目の前にいる変わり者の編集長しかいないのだ。