海と空と、太陽と
‐side 悠大-
今日の昼休み、実は栞奈ちゃんが来る前に基羅が来た。

何かと思ってびっくりしたけど話はよくなかった。

『久しぶりだな、悠大』

『…ん。どうした??』

『いや、ひとつだけ言いたいことがあったから』

基羅はそう言う。

『俺に??』

『あぁ』

『ん??なに??』

『アイツ。栞奈の事なんだけど』

『栞奈ちゃんがどうかした??』

『…アイツさ、影でグループからいじめられてるかもしれねんだ。俺も前、実際見た』

『どういう意味』

『花野が言ってたんだよ。そのグルのリーダーでさ、今は関わって無いらしいけど、花野が言うにはまだ栞奈を囲んでそうって言ってた』

『…それをなんで俺に??』

『…俺にはもう…アイツを守ること出来なくなったから。それで今日悠大に頼みたいことがあってここに来た』

『…つまり、俺が栞奈ちゃんを守れって??』

『…頼む』

そうか。

そう言う事か。

『いいよ。その代わり』

『…』

『栞奈ちゃんは俺が貰うよ??』

そう俺は基羅に言った。

基羅は

『好きにしろ』

そう言って部屋を出て行った。

あんな基羅、初めて見た。

本気で守りたいものが出来たんだと。

今の聞いててわかる。

基羅は栞奈ちゃんが好き。

だから俺に守れなんて。

でも、

なんで自分で守んないのだろ。

確かに彼女がいる。

だけど基羅は、ノリで付き合うような奴じゃない。

なんで基羅はそうやっていつもひとりで抱え込むんだろう。

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