海と空と、太陽と
-side 基羅-
俺に彼女ができて1ヶ月が経った。

昼になり、俺は彼女にトイレ行ってくるから先に屋上言っててと言った。

けど、本当はトイレなんかじゃない。

久しぶりに、あの部屋に行きたくなったから。

俺は彼女と付き合って、あいつらと関わることをやめた。

まぁ栞奈に酷いことしたもんな。

俺が思うに悠大は栞奈が好きだと思う。

悠大は俺が栞奈にした事を知っているかは分からないけど、栞奈に近づけない。

栞奈には悠大がいる。

俺には彼女がいる。

それでいいんだ。

あの懐かしい部屋に着く。

やっぱり二人はここにいた。

すると、こんな声が聞こえてきた。

「悠大君!!」

「んー??」

悠大君昔から女が苦手だった。

なのに栞奈には心開いてんのかなって思う。

「今日ね、悠大君にサンドウィッチ作ってきたの!!」

「マジで!!??」

悠大は足を組んで本を読みながら飯を食べてたけど、

栞奈のその一言で本を閉じて足を組むのをやめた。

この二人は付き合ってるんじゃないかって噂もある。

本当にそうかもしれない。

「だっていつもコンビニばっかりじゃん」

「たまに食堂だよ??」

「そういう問題じゃないのー!!とにかく私作ったから、食べてくれる??」

「嬉しいよ。ありがとう」

こんな楽しそうな二人の中に昔俺はいたんだなと思った。

あの頃は確かに楽しかった。

栞奈みたいな女は初めてで。

あの時俺が話しかけたきっかけで仲良くなった。

『ねー静駅ー?』

俺は前の席に座ってる女子に話しかけてみた。

『おーい』

全く気づかないのか、

俺を無視してるのか、

『なあ』

俺はその隣に顔を出した。

『へっ、きゃあ!!』

『あ、ごめんね』

あまりにもびっくりしたみたいで。

俺はもう一度聞いてみた

『お前静駅だろ』

と。

『え、てかなんで知って…』

『俺さその次の駅なんだよ。帰りよく見かけてたからさ』

『そう…なんだ…』

あの時俺が話しかけてなかったら、

きっと三人楽しく揃わなかっただろう。

でも今は俺だけ離れてる。

そんなことをしてしまったから。

俺はもう、彼女と向き合う事にする。

この二人を崩したくないから。

だから、

自分を抑えて前に進もう。

だけどたまには、

この部屋を覗いていたい。


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