友達の延長線
あたしがお礼を言うと驚いたような顔。
「……なんか久々にお礼言われたかも」
リューは苦笑い。
「そーなの?リューはたくさん人助けしているのに」
あたしはクスクスと笑う。
「…当たり前の日常になっちゃうんだよね。皆も俺も、やってあげるのを日常にしてたし、やってもらうのを日常にさせてしまった」
少し後悔してるのかな?
「…悪いことじゃないよ?でも後々リューが辛くなっちゃうかもね」
少し微笑む。
「……辛い、ね」
リューは悩んだ末に、ため息を吐いた。
「悩んでるの?」
あたしが首を傾げながら聞くと、リューは少し辛そうに笑った。
「まぁ、ちょっとね」
意味あり気に聞こえてしまうのは、あたしの耳が可笑しいから?
リューは「戻ろっか」とあたしに手を差し伸べた。
「ありがと」
あたしはそう言って握った。
「お礼言われるの、照れ臭い」
目を泳がせて言うから、吹き出してしまった。
「じゃあ沢山お礼言うね」
「えっ、そしたらお礼言われるの慣れちゃうじゃんっ」
「そこは慣れちゃおうよ」
見つめあって二人で笑った。
ナチといる時よりも楽しく、幸せな気持ちが満たしてくれた。