友達の延長線

携帯を耳に当てると、やはり男の声。

『電話中に倒れたんだ。きっと貧血だから助けてくれ』

……コイツ彼氏か?

焦ったような声の主は動揺が隠せていないよう……。

何故だか少し苦しかった。

人のだったから?

「名前は?」

『延野天使。延長の延に、野原の野。天使って書いてユカリ!』

携帯を肩で挟んで、女の子を横にする。

顎をクイッとあげて、気道を作ってあげる。

「どこの学校?」

わかってるけど、一応ね。

『××高校』

やっぱり俺と同じか。

「俺と同じだ。保健室に連れて行きます」

女の子を見つめて、思った。

美人だな、って……。

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