オオカミと少女

「ナターシャ、ちょっとこっちを…おや?知り合いかい?」



「いいえ、レミットおばさん。
さっきいらっしゃったばっかりよ。」



「そうかい。
お前がそんなに楽しそうに誰かと話しているのを見るのは久しぶりだよ。」



レミットは嬉しそうにそう言うとナターシャに片方のトレーを渡した。



「イーサン、出来ましたよ。」



ナターシャの笑顔を見てイーサンは立ち上がった。



「あちち…」



ナターシャがそう呟きながら袋に詰めていると、ポン、と袋のすぐ横にもう1つのパンが置かれた。



もちろん置いたのはイーサンで、ナターシャは驚いて顔をあげた。



「2つお買い上げね。」



そう言ってレジを打つレミットの横でナターシャはじっとイーサンを見ていた。



そのパンはさっきナターシャがイーサンに話した、ナターシャが焼いたパンの内の1つだった。



「いいんですか…?」



「何が?」



イーサンは少し首を傾げて、また優しい笑みを浮かべた。






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