オオカミと少女
「俺が、ナターシャの焼いたパンを食べてみたいって思っただけ。」
ナターシャはそれを聞いてすぐに笑顔になった。
「あ、ありがとうございます!」
「ああ。」
イーサンはお金を置いて袋を受けると、それを抱えて扉に向かった。
ナターシャもレジから慌てて離れると扉を開く。
またカランカラン…という音が店に響いた。
「また、お越し下さい。」
ナターシャの言葉にイーサンは何も言わなかったが、笑顔でヒラヒラと手を振った。
店から離れて歩いて行くその後ろ姿を見つめるナターシャに、レジの前に座ったレミットはニッと笑った。
「いいねぇ、若いのは。」