オオカミと少女
「そうね!ウィリアムは卒業してから何をしてるの?」
「言ってた通り、隣街のマリウス工房で見習いをしてるよ。
あのじいさん、ガラス職人にしては珍しく頭硬くないから話しやすくて!」
2人の楽しそうな様子を見て、レミットは苦笑いを浮かべた。
「…ウィリアムの気持ちに、ナターシャはいつ頃気がつくかな?」
その言葉の通り、ウィリアムは頬を少し赤く染めているのに対しナターシャは笑顔を浮かべているだけだ。
しかもウィリアムと話しているのに、まだ少し悲しそうな表情も混ざっている。
「…ナターシャは鈍感だからねぇ。ハハハ!」
「何笑ってんだ?レミットおばさん。」
レミットのとぼける姿を目の端に捉えてから、ウィリアムは「あ!」と言ってまたナターシャを見た。