オオカミと少女
レミットの言葉にウィリアムはえーっと…と呟く。
「『もう人は殺したくない』だったかな。その言葉通り男に飛びかかろうとしたのを途中で踏みとどまったらしいぜ。」
「怖いわね…でも満月はもう終わったでしょう?確か一昨日だったはずよ。」
「ナターシャ。
満月の夜に1番強くなるってだけさ。
事実、歴史に残るオオカミ人間が起こした事件は大抵、満月の2週間前後に起こってる。
今回俺達の街のことは被害も少なかったからきっと歴史には残らない。
でも政府がオオカミ人間の存在を認知した。きっとまた徴兵がかかるぞ。」
ナターシャは不安になりレミットを見た。
「大丈夫かしら。
この街も危ないんじゃ…」
「落ち着きな、ナターシャ。
うちの店に来たら、ありったけパンを渡して大人しく帰ってもらおうね。」