オオカミと少女
「…ナターシャ。」
イーサンはナターシャの腕を掴んだ。
「…ウィリアムとは、どういう関係?」
「ウィリアム?お友達よ?」
ナターシャは首を傾げてイーサンを見た。
イーサンはどこか怒ったような、寂しいような顔をしてナターシャを見つめている。
「…そうか。」
「あ、そうだイーサン。」
ナターシャは何かを思い出したように自分のポケットに手を伸ばした。
「あのね、ブレスレットをくれたお礼なんだけどね。…はい、これ。」
そう言ってナターシャがイーサンに渡したのは小さい鍵のようなデザインのネックレスだった。
男性用なのかイーサンの首に通しても何の違和感もない。
「これを、俺に?」
「うん!」
ナターシャは満面の笑みを浮かべた。
「好きって言ってくれて、嬉しかったから。私もイーサンのこと大好きよ。
今まで人を好きになったことなかったから、これが好きっていう気持ちなんだって、分かるまでちょっと時間かかっちゃったけど。」
イーサンは首に下がったネックレスを見て自然に笑顔になった。
「…ありがとう。」
「どういたしまして!
今日はゆっくりしていってね?」
ナターシャの頬に手を伸ばしながら、イーサンはとても寂しそうに笑った。
「…うん。ゆっくり、していくな。」