オオカミと少女
「レミット!ナターシャ!」
その日の夜は騒がしかった。
みんなが寝静まった真夜中、レミットとナターシャはウィリアムの叫び声で目を覚ました。
ウィリアムは興奮したように2人を見ている。
「で、出た…!」
「出たって、何が出たんだい。」
レミットがウィリアムを落ち着かせるように肩を掴んでゆすった。
ナターシャはその間、ずっと窓の外が気になっていた。
外では緊急事態を知らせるサイレンが鳴り響き、人々が叫んでいるのが聞こえてくる。
「オオカミ人間だよ…!」
ウィリアムの顔は恐怖に歪んでいた。
ナターシャは息を飲んだ。
まだ、満月からは3日しか経っていない。
隣街に現れたのだから、近いこの街にオオカミ人間が来たってなんの不思議もなかった。
「…イーサン!」
ナターシャの言葉にレミットも振り向く。
「ナターシャ。
イーサンの様子を見て来な。
ウィリアムは店の玄関と裏口がちゃんと閉まってるかどうか見て来ておくれ。
アタシはミスト達と連絡をとるから。」
レミットが2人に指示を出し、2人は頷いてそれぞれの方向に走り出した。
ナターシャは隣の部屋に向かった。