オオカミと少女

呪いがとけるとき


体中が熱い。





イーサンはそう感じて身を震わせた。



閉じていた目を開けば、警棒や刃物を持った男達が怖い顔でこちらの様子を伺っている。




(俺はお前達を殺さない!
分かってくれ、誰も殺したくない!)




誰かが近づいてきて自分を襲う度、この毛むくじゃらになった体は勝手に反応して襲いかかってしまう。




イーサンは頭では分かっていてもそれを自分で制御することが出来ないのだ。




(近づくな!誰も殺したくないんだ!)





「ウ、ウァァア…!ガァ!」





そう叫んだところで



牙の生えた口から発せられるのはそんな言葉にならない声だった。






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