オオカミと少女

「ふう、疲れた。」



ナターシャはそこでようやく左肩のずり落ちたローブを引っ張り上げる。



「…寒い。」



ナターシャは身震いすると置いた籠のすぐ横に積まれていた蒔をいくらか手にとった。




「もう、すっかり冬ね。」




ナターシャは蒔を脇に抱えこむと、また籠を持って立ち上がった。



そのまま腕だけで器用に小屋のドアを開け、ナターシャは中に入って籠を置いた。



「…ただいま。」



ナターシャは雫のついた髪を払い、ローブを取りながら呟くように言った。



外は雨の降る音が響いているが、小屋の中は静かだった。



そこは外に比べて明るいものの、薄暗いという言葉が1番似合った。




真ん中には1つの机と2つの椅子。


その奥には扉のない、もう1つの部屋への入り口があった。


そして机の右側数歩行ったあたりに大きな暖炉があり、火はついていない。




ナターシャは抱えた蒔を暖炉に焼べると暖炉の隣の棚を開けた。




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