初恋日和
そんなことを思いながら、私は必死にノートにペンを走らせた。





カリカリカリカリカリ。



コッコッコッコッ。




頭に響くのは字を書く音と時計の針の音だけ。

何故か今日は捗らない。


様子見だったはずのあのメッセージが気になる。

「はぁ…」

溜め息が一つ、こぼれた。

返信をするか否か、それは私にとっては何故か受験をするかしないかくらいに真剣な選択だった。

「…返信しよ」

結果、私はあの”ユウ”という人に返信することにした。

「何て返そう…ありがとう、嬉しいです…とか?」

今まで男の人と関わったことがなかったぶん、男の人が喜ぶ文章が思いつかない。


考え出してから20分が経過した。



……。




………。



「だめだあ…思いつかない!」

たった一言返すだけなのに。


私は思いきって、自分の思いつくままに文章を書いてみた。


”こんにちは。

授業は先程終わり、いま私は家でテスト勉強をしています。

私とお話がしたいなどと言ってくださりありがとうございます。

嬉しいです。”

なんか、ちょっと怪しい。

夏樹が気をつけなさいって言ってたのも分かる気がする。

第一私は男の人に話しかけることすらないし、親密に関わったことなど一度もない。

ましてやあっちは私よりも年下っていうのに何を考えてるんだろう。

とりあえずその文章に返事は返さず、様子を見てみることにした。


試しにそれだけ書いて送ってみた。






ピコン♪

「え、はやっ!」

あまりの早さに私は驚いてしまった。
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