初恋日和
コンコン。

ふとドアをノックする音が聞こえた。

これもいつものことだ。

「先生、お疲れ様です。」

「今日も一日ご苦労様。あなたの声は伸びやかで説得力のある声だからとても聞いていて心地がいいわ」

「ありがとうございます!」

パァっと表情が明るくなる私を見て、先生は軽く微笑んだ。

「じゃ、ここの戸締まりと後片付け、よろしくね」

「任せてください!」

私が輝いている時、…それは、下校アナウンスをしている時。

彼氏がどうのこうの言う夏樹も、この事だけはいつも褒めてくれる。

彼氏なんか作らなくたって、恋愛なんかなくったって、私には今がある。

ここに私の愛するものがある。

そんな思いを抱いている私はすっかり恋愛のことなどどうでもよくなっていた。
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