Darkness love1
この倉庫は汚い。


汚いって言うより、血がベッタリと所々に着いている。


この倉庫が汚くなったのはあの事件のせいだ。


「タク…」


ケントに声をかけられ、ハッとする。


「な、なんだよ」


つい、焦った声が出てしまう。


「あの事件のこと、思い出してんのか?」


「あぁ…」


俺は素直に答える。


「あの事件は、運が悪かっただけだ。
誰のせいでもねぇ。お前のせいでも、サキちゃんのせいでもな…」


あぁ。


ケントは知らないのか。


サキが悪いワケじゃ無いこと。


「…今日もサキが謝ってきたよ…」


まぁ、俺がアイツの記憶を無理やり、ねじ曲げたんだけどな。


俺の言葉に、ケントは悲しそうに笑った。


俺、サキに思いだして欲しくないんだよ。


それがバレたら俺は確実に終わる。



「いつか…許せる日が来るといいな」


許せるも何もアイツは何もしてねぇけどな。


「おう」


サキが思い出さない限り、俺は嘘を突き通す。

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