カロン
第1章
カロン

—―冥王星の1つである星。
自ら光り輝く事が出来ないこの星は
他の星の光を反射し、やっとの事で輝い
ている。




今日、私は中学校を卒業する。
この学校は、小中学校がほぼもちあがりだった。
友達同士の絆はとても深く、思い出も多いため、離れ難い友達が多くいた。

「如月 由紀(きさらぎ ゆき)」
私の名前が呼ばれる。
「はい。」と返事をし、ステージへあがり、証書を受け取った。

そしてステージを降りようと振り返った時、3学年全員が見えた。

短くなった学ラン。
着すぎてすこし光っているセーラー服。
同じ時を過ごした仲間がこんなに成長した事をこの時初めて知った。

ああ。私も少しは成長できただろうか。
楽しいと思ってもらえただろうか。
恩返しはできただろうか。

そんな事を考えながらゆっくりステージを降りた。


「「卒業おめでとう!!」」
重なった2つの声のする方を見ると私の親友たちがいた。
早月(さつき)と智恵(ともえ)だ。

中学校生活のほとんどをこの2人と過ごした。
行事はもちろん。昼休みや休日、どんなくだらないことでも2人といるだけで私は幸せに満ち溢れていた。
まるで家族のような暖かさを持っていた2人が私は大好きだった。


そんな2人とも今日でお別れ。
私達3人は別々の高校へ行く事になっていた。

早「卒業かー。はやいなー。」

智「高校離れても絶対会おうね!遊ぼう ね!」

私「2人と離れるの嫌だな。」

暗い顔をして話す私に2人は笑顔で言った

早・智「大丈夫。私達はずっと由紀の味方。離れてても、考えてる事は同じだよ。私達は由紀が大好きだよ。」

2人の言葉が胸に刺さった。
そして、私はこの日生まれて初めて暖かくて、優しい、幸せな涙を流した。


続く。

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