彼女のひみつ



さっきまでの憂鬱は綺麗さっぱり消え去って、上機嫌で生徒玄関まで歩いていると、



「柚華!!」


今日はよく呼び止められるなぁ。


後ろを振り返ると、幼馴染の優くんが立っていた。
185㎝の高身長とキリッとした眼差し。
低く落ち着いた声で名前を呼ばれるのは、なんだか心地いい。
整った顔と抜群の運動神経を兼ね揃えている優くんはもちろん女子の皆さまにモテモテ。
だけど、彼女は作らないんだって。
詳しく知りたいけど、中学生の頃からだんだん会話が減っていって一時期は同じ空間にいるのも拒まれるぐらいだった。
最近は少しだけ会話も増えて、たまにだけど名前を呼んでくれることもある。

こんな些細なことでも、あの中学時代を経験した私にはすごく嬉しい進歩なんだ。



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